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世界の焼酎:中国「白酒」

今回は世界の焼酎のお話をしたいと思います。

まずはおなじみ中国から。
中国で日本の焼酎にあたる蒸留酒は、白酒(パイチュウ)といいます。
中国の穀物を原料としており、主原料から高粱酒(カオリャンチュウ)とも、製法から焼酒(シャオチュウ)とも称されています。
中国語では日本や韓国の焼酎のことを「白酒」と呼ぶこともあるようです。また、西洋料理店などでは「白酒」が白ワインを指す場合もあるそうです。
また方言もあり、揚州では辣酒(リエッチオウ/ラーチュウ)、成都では乾酒(カンチュウ)、中国東北部、山東省、四川省などで白乾児(パイカール、白乾兒/白干儿)ともいうようです。
白乾児の呼び方は一部では有名でしょうか。
子供たちにはおなじみ、『名探偵コナン』で主人公が誤って飲んでしまい、一時的に元の姿に戻ったというあの白乾児ですね。

白酒の“白”は“透明”の意味であると言われています。これに対して、醸造したままで蒸留していない褐色の酒を、黄酒(ホアンチュウ)といいます。

日本の焼酎は法規定でアルコ-ル度数が続式で36度未満、単式で45度以下と定まっていましたが、白酒はそれよりも度数が高かったようです。
20世紀の白酒のアルコール度数は50度以上でしたが、嗜好の変化や海上輸送上の制限などから、1990年代から白酒のアルコール濃度を下げたものが広がってきて、今では低度酒と呼ばれる38度の白酒が主流となっているようです。50度以上であった高度酒も、現在は45度のものが出ています。ちなみに、ウイスキーやブランデーはほとんどが40度程度だそうですから、結構な強さですね。

いいちこについて

今日は、いつもとはテーマが少しずれるんですが、
「いいちこ」はなぜ売れるか、ということについて考えてみました。

 三和酒類株式会社、大分県宇佐市大字山本、資本金10億円、従業員
300名あまり・・・。これだけ見るとあまりぱっとしない地方の中堅
企業を思い浮かべますが、これが日本一の出荷量を誇る本格焼酎「い
いちこ」の酒蔵なのです。

 2005年4月2日、日本経済新聞の「NIKKEIプラス1」に「お気に入り
の焼酎ランキング」が掲載されています。2位以下を倍以上引き離し
て断トツ1位だったのが「いいちこ」。

 いいちこといえば、私が大学生の頃、東京でコピーライターを目指
している友人から紹介されて初めて飲んだような記憶があります。
「下町のナポレオン」というキャッチコピーが笑わせてくれたし、
水割りで飲んでみると、クセがなくて美味かった。

 それから20年以上経ち、根強い焼酎ブームもあって、いいちこは
今も売れ続けています。どうしていいちこがこれほどまでに支持され、
ロングセラーであり続けられるのか。気になって調べてみました。

 いいちこは蒸留酒で出荷額日本一、世界でも第3位だそうです。発売
当時(昭和54年)3億円だった年商は、今や500億円を超えてます。
この躍進の秘密について、TKC全国会のPR誌「戦略経営者」に次のよう
に書かれています。

1. 新・本格焼酎という新しいカテゴリーを作り出したこと。従来
の麦焼酎とは異なる「麹菌」を使うことで、癖がなくライトな味わいを
実現し、今までにない麦焼酎の開発に成功した。

2. コアの客層を把握して効果的な販売戦略を行ったこと。独自の
マーケティング調査を行い、コアターゲットを「40歳代、年収600
万円程度のサラリーマン」に絞り込み、彼らに向けてメッセージを送り
続けたこと(イメージ戦略については後述)。

3. 商品の味やデザインに一貫性を持たせつつ、技術革新にチャレ
ンジし続けたこと。20年の歴史の中で様々なマイナス要因を克服しな
がら、味とデザインは一貫して変えなかった。

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 いいちこのマーケティングの中でも特筆すべきなのが、イメージ戦略の
うまさでしょう。いいちこといえば、洗練されたテレビCMと芸術性の高い
ポスターで有名。

 現在流れているいいちこのCMは、懐かしいビリーバンバンの歌をバックに、
サンクトペテルスブルグやアイスランドの風景が流れる、叙情的なイメージ
の作品。誰もが覚えているこのCM、実は一週間に4本しか流れていません
(テレビ東京系を除くキー局4局に週1本づつ)。確かに、サントリーな
どと比べると本数は少ないけれど、頭に残るより心に残り印象深いCMです。

 ポスターは、1984年から年間13枚(毎月1枚とクリスマスバージョ
ン)が継続して作られています。自然の雄大な景色や日常の風景の中に
いいちこのボトルが1本置かれ、たった1フレーズのキャッチコピーと
「iichiko」の文字だけ。シンプルだけどインパクトは強い。かといって押し
付けがましくなくほのぼのとさせられる。部屋に貼っても絵になりそうだ。
イメージ広告としては出来すぎです。

 いったい誰がこのポスターを作ったんだろうと思って、調べてみました。
AD川北秀也、カメラ浅井慎平。なるほど。プロ中のプロの仕事ですね。

私自身は、1985年1月の作品が一番好き。雪原の中にいいちこのボトル
が半分埋まっていて、キャッチコピーが「下町のなんとかという酒」。この
イメージは強烈でした。「なんとか」と言われると、手元のボタンを押して
「ナポレオン!」って答えたくなるではないですか。

 私が思うに、いいちこの広告はいいちこを売るための広告ではありません。
「話題づくりのための広告」です。三和酒類のホームページには、お客様か
ら「あのCMの曲名を教えて」「CMの撮影場所はどこ?」「CMの放送時間を教
えて」「ポスターが欲しいのですが」といった声が毎日のように寄せられて
います。ポスターをまとめた作品集まで出版されています。企業の広告にこ
れほど草の根のファンがいるケースも他にないでしょう。映像やイメージ一
辺倒の広告が効かなくなった中で、かたくなにイメージ広告を続けることで、
いいちこのブランドをより確かなものにしたと言えます。

 ところで「いいちこ」は、大分の方言で「良いですよ」という意味。実は、
この商品名は一般公募で決まったもの。いいちこの発売に先立って、大分県
の地元の新聞に「三和酒類がこのほど開発した新しい麦焼酎の名前を募集す
る」というニュースリリースを配り、記事を掲載してもらったそうです。そ
の結果、広告費を一銭も掛けずに地元消費者にアピールし、1500通もの
応募を得たといいます。「うまい!」思わずうなってしまいます。三和酒類
はもう20年以上前からパブリシティの使い方を心得ていたということです
ね。

 サブネームは「下町のナポレオン」。ブランデーのナポレオンの高級感を
拝借した「なんちゃって」なネーミングですが、この酒のポジショニングを
よく表しています。現在国内では、本家のナポレオンよりたくさん飲まれて
いることは間違いないでしょう。

いいちこは、広告とパブリシティの絶妙なバランスで躍進しているのです。

古酒・新酒

人はやはり、新しいもの・新鮮なものを好むものです。
お米もしかり、野菜もしかりです。新米はおいしいし、生鮮食品はもちろんなのですが、缶詰や冷凍食品などでも、やはり消費期限が遠いものから選びがちです。

お酒についても、清酒蔵で搾りたての酒を飲むのが一番美味しい、という声があるようですが、しかしこれはそうでもないようです。
搾ったばかりの清酒はまだ味がばらばらで、おいしいものではないのだそうです。同様に蒸留したての本格焼酎と泡盛も、アルコールが踊っているように味が粗く、またアルデヒドやイオウ化合物など揮発しやすい成分が混じっているため、いわゆる「ガス臭」がします。
この原酒をタンクに囲っている間にアルコールが水に馴染み、ガスも飛んで、おいしい本格焼酎になるのだそうです。

この熟成期間を「調熟」といい、商品としてお店に並べるまでには、蒸留してから3ヶ月ほど待たなければなりません。特別な方法で造って『新酒』とうたう製品でも、最低1か月位の熟成は必要になるのだとか。

本格焼酎の表示法によると、『古酒』とうたえる商品は、総量の50%超が3年以上の貯蔵酒であるものと定められています。良い原酒を長期間熟成させた『古酒』は味がまろやかで、穏やかな芳香が立ち、水割りしても風味が崩れなくなるそうです。
長く熟成されたものがよい「味」を出すのは、お酒に限ったことではなく、人も同じように思います。まだまだ社会に出たばかりの「新米」の私も、長い熟成の果て、いずれはいい「味」を出せるよう、精進していきます!

人気焼酎

本日は2本、人気焼酎の飲み方を紹介。

●鍛高譚(たんたかたん)

北海道・オエノングループが提供するしそ焼酎。鍛高譚(たんたかたん)の名前の由来は、原料となる赤紫蘇の産地“鍛高”に、物語を意味する“譚”をつけたもの。ラベルには、鍛高地方の地名のもとになったアイヌの昔話が書かれている。
口に含んだ瞬間に広がるしその香りとサッパリとした甘みが非常に清々しく、飲みやすい焼酎として人気が高い。原料の赤紫蘇とデーツ(ナツメヤシ)を混ぜて発酵・蒸留させる製法は、製造元である合同酒精の特許となっている。
おすすめの飲み方は、ロック、ストレート、水割りなど。また、クセのなさを活かしてクランベリージュースやトニックウォーターで割っても、ひとあじ違った風味を楽しめる。
しっかり熟成させた芋・麦焼酎のように強烈な個性はないものの、しそ焼酎独特のさわやかな風味・後味を楽しむことができ、初めて焼酎を飲む人でも抵抗なく受け入れられる一品。


●本格焼酎 財宝

鹿児島県垂水市の食品メーカー財宝が提供するオリジナルブランド焼酎。割り水に近隣の「財寶温泉」の天然水を使用しており、芋・麦・米・黒糖の各焼酎を製造している。
主な銘柄は、白麹を使用した「財宝焼酎(芋・麦・米)」と「財宝スペシャル(芋・米・麦)」、および、黒麹を使用した「黒財宝(芋・麦・米)」と「黒糖財宝」。前者はクセのなさと飲みやすさが、後者はそれぞれの素材の味と香りを前面に出した飲み口が特徴。
また、「財宝」の名の由来となっている財寶温泉水は、地下1,000メートルから湧き出す超軟水のミネラルウォーターで、焼酎にまろやかさを加え、とくに白麹仕込みの財宝で、そのほのかな旨味を実感できる。
現在、オンラインショップで実施している特別キャンペーンを利用すると、単品でも数本セットでもお手ごろ価格で購入できるほか、焼酎作りにも使われる財寶温泉水ミネラルウォーター(2L)が付いてくるため、水割りやお湯割りを楽しむこともできる。
芋・麦・米の各焼酎を飲み比べたり、白麹造りと黒麹造りの焼酎の違いを味わいたい人、温泉水造りの焼酎の味を試したい人はチェックしておきたい一品と言えるでしょう。

スーパーでも購入できるので気になった人はぜひ。

ハードタイプ・ソフトタイプ

焼酎には、ハードタイプとソフトタイプがあります。
ハードタイプは、伝統的な製法でつくられた製品で、多種多様な香気成分が含まれ、原料由来の風味が生きています。
これに対して減圧のもと低温で蒸留した本格焼酎は、原料の風味に乏しい反面、華やかな香りがあって、飲む人に軽快感をあたえるソフトタイプ製品と言われます。
この滅圧蒸留法が使われ始めたのは昭和46年ころからだそうで、それ以前の本格焼酎をソフト→ハードの順に並べると、
黒糖製→いも製→麦製→米製→泡盛→酒粕製
のようになったのですが、現在では米製・麦製・そば製で減圧蒸留によるソフト製品が主体を占めるようになりました

これまで焼酎はハードタイプ…つまり、伝統的製法でつくられたもののみでした。しかし焼酎ブームのなかで、軽やかな飲み心地を得られるソフトタイプが作られるようになったのです。

ところで、焼酎ブームに先立つ昭和40年代、米国で始まった白色スピリッツ指向が世界に広がりました。本格焼酎と泡盛はこの白色スピリッツの、典型的なものになるそうです。この一方で、世界的な健康指向と50年代の焼酎ブームに刺激されて、アルコール分20度台のウォッカなどのスピリッツが、昭和62年頃からスピリッツ市場に参入しはじめました。本格焼酎のアルコール度数は上限が45度、市場に出回っているものは25度程度が多いようなので、世界の嗜好傾向を先取りした酒として、海外から注目を集めたようです。

現在、泡盛は伝統的なハードタイブを守り続け、またいも焼酎は甘い蒸かし芋の香りを生かすため、ほとんどの製品が伝統的製法でつくられています。